夏の園児に多い感染症と家庭での対処法

夏休みシーズンを迎えると、プールや水遊びなど楽しみが増える一方で、“夏風邪”とも呼ばれる感染症も流行しやすくなります。
保育園や幼稚園で集団生活を送るお子さんは特に注意が必要です。
本記事では、手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱(プール熱)・流行性結膜炎など、夏の代表的な感染症について「原因→症状→対処法」を具体的にご紹介します。親子でしっかり備えましょう!
1. 手足口病
小さなお子さんに多く見られる「手足口病」は、手や足、口の中に水ぶくれのような発疹が出るウイルス性の病気です。
原因となるのは、コクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71など。
飛沫感染や排泄物を介して感染が広がります。そのため、排便後やおむつ交換の後は必ず手を良く洗いましょう。
発症までの潜伏期間は4~6日程度。手や足、口の中に水ぶくれのような発疹が出るのが特徴で、おしりやひじ、ひざにできることもあります。ときに熱が出ることも。
発疹や口内炎の痛みで食事や水分を嫌がることもあるので、脱水には十分注意が必要です。
原因のウイルスがいくつもあるため、何回もかかることがあります。
原因のウイルスに効く薬はありません。熱があれば解熱剤を使ったり、口内炎があれば口内炎治療薬が出ることはあります。
登園停止の決まりはなく、元気で普段通りの食事がとれていれば登園できるので体調の変化を見ましょう。
2. ヘルパンギーナ
「ヘルパンギーナ」も夏に流行するウイルス感染症のひとつで、突然の高熱と、のどにできる水疱が特徴です。主にコクサッキーウイルスA群が原因で、飛沫や接触によって感染します。
発熱は38℃以上と高く、子どもがぐったりしてしまうことも。のどの痛みが強く、食事や飲み物を嫌がるため、脱水状態に注意が必要です。水分はゼリーやアイスなどのどにやさしいものを選ぶとよいでしょう。
基本的に1週間ほどで自然に治まりますが、症状が強いときは病院を受診してください。回復するまでは登園を控え、体をしっかり休ませましょう。
手足口病と同じく、原因ウイルスに効く薬はありません。高熱が続く場合は解熱剤などが処方されることがあります。
3. 咽頭結膜熱(プール熱)
「プール熱」として知られる咽頭結膜熱は、アデノウイルスによって引き起こされます。プールの水やタオルの共有、くしゃみや咳などの飛沫で感染します。
発熱、のどの痛み、目の充血が主な症状で、まさに“夏風邪”の代表格です。特に高熱が続くことがあり、子どもにとってはつらい症状が続きます。感染力が非常に強いため、学校感染症として登園停止の扱いになります。
発熱や目の充血が治まった後も2日間は登園できないため、医師の指示に従って回復を見極めましょう。プール後の目洗いや、タオルの共用を避けることが予防に有効です。
原因ウイルスに効く薬はなく、こちらも熱に対して解熱剤が処方されることがあります。
4. 流行性結膜炎(プール結膜炎)
「流行性結膜炎」は目の充血、かゆみ、涙目といった症状が見られる病気で、アデノウイルスが原因です。感染経路は飛沫や接触、またプールの水を通じてもうつることがあります。
目が赤くなり、かゆみや異物感を訴えるお子さんも少なくありません。片目から始まり、数日後にもう一方の目にも症状が出ることがあります。
感染を防ぐには、清潔なタオルで目元を優しく拭く、タオルや枕カバーの共用を避ける、手洗いを徹底するなどのケアが欠かせません。症状が強い場合は眼科での診察を受け、必要に応じて点眼薬を使用します。
登園については感染のおそれがなくなってから2日間登園できません。
共通する予防と対処のポイント

夏に流行する感染症は、どれも「手洗い」や「うがい」が非常に有効な予防策です。とくにトイレのあとや食事の前には石けんを使って丁寧に洗う習慣をつけましょう。
また、タオルや食器の共有を避け、換気や清掃をこまめに行うことも大切です。水遊びの後は目や体をよく洗い流し、清潔を保つようにしてください。
暑い時期は脱水になりやすいので、冷たいジュースよりも常温のお水や経口補水液をこまめに飲むようにしましょう。感染症によっては、発熱や症状が治まってもすぐに登園できないケースがあります。登園基準は園や医師の指示に従ってください。
まとめ
夏に気をつけたい感染症には、手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、流行性結膜炎があります。いずれもウイルスによるもので、主な感染経路は飛沫や接触です。予防の基本は手洗い・うがいと清潔な生活環境の維持、そして十分な水分補給です。
お子さんの体調に変化が見られたら、早めに医療機関を受診し、症状に合った対処をしてあげましょう。登園停止期間や回復後の対応も確認して、安全な集団生活をサポートしてあげてください。
※気になる症状があれば必ず医師に相談しましょう。
参考資料
小児の薬の選び方・使い方|横田俊平など
ママ&パパのつたえたい子どもの病気ホームケアガイド|日本外来小児科学会
投稿者プロフィール

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2015年~ 県立広島病院で勤務、主に外来のがん治療を行う患者さまの抗がん剤注射剤の調製、お薬の服薬指導、私生活のサポートを行う。
2019年~ 県立安芸津病院へ転勤 栄養サポートチーム(NST)に所属し栄養管理や整形外科での人工関節手術後のサポートを行う。
2021年~ あすなろ薬局で勤務
2023年~ 臨床栄養医学指導士を取得し、薬に加えて栄養指導も行っている。
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