血圧の「上」と「下」、それぞれの意味と健康への影響とは?

血圧を測ったときに表示される「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」。
これらの数値を見て、「どちらが高いと危ないのか?」や「どうやって改善すれば良いのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、血圧の意味や、異常値が示す健康状態について詳しく解説します。
血圧とは?
まず、血圧について簡単におさらいしましょう。血圧とは、血液が血管の壁に与える圧力のことです。血液は心臓から全身に送り出され、血管を通って流れていきます。この血液の流れに対する圧力が「血圧」となります。
血圧は、主に2つの値で表されます。
- 上の血圧(収縮期血圧)
心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力です。これが「上の血圧」と呼ばれ、通常120mmHg以下が理想とされています。 - 下の血圧(拡張期血圧)
心臓が血液を送り出した後、弛緩して血液が戻ってくるときの圧力です。これが「下の血圧」で、80mmHg以下が理想的です。
例えば、血圧が「120/80 mmHg」という場合、「120」が上の血圧(収縮期血圧)で「80」が下の血圧(拡張期血圧)です。
血圧の異常値が示す意味
血圧は、高すぎても低すぎても、健康に影響を与える可能性があります。それぞれの異常値が示す意味について見ていきましょう。
1. 高血圧(高すぎる血圧)
高血圧は、心臓や血管に負担をかけ、さまざまな病気を引き起こす原因となります。特に、長期間高血圧が続くと、心臓病や脳卒中のリスクが高くなります。
- 収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上
- 拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上
これらの基準値を超える場合、高血圧と診断されることがあります。特に上の血圧が140mmHg以上になる「収縮期高血圧」が重要視されています。
2. 低血圧(低すぎる血圧)
低血圧は、血液が十分に全身に供給されないため、めまいや立ちくらみ、疲れやすさなどの症状を引き起こします。急に立ち上がったときに立ちくらみを感じる場合もあります。
- 収縮期血圧が90mmHg以下
- 拡張期血圧が60mmHg以下
特に高齢者や妊娠中の方に見られることが多く、低血圧自体が病気の原因となることもあります。
血圧が高い原因と改善方法
高血圧を引き起こす主な原因は、生活習慣の乱れです。具体的には以下のようなものがあります。
- 塩分の摂りすぎ
塩分(ナトリウム)を摂り過ぎると、体内の水分量が増え、血圧が上がります。 - 運動不足
運動不足により血管が硬くなり、血圧が高くなりやすくなります。 - 肥満
体重が増えると、心臓が血液を送り出す負担が増加し、血圧が上がることがあります。 - ストレス
ストレスが続くと、交感神経が活発になり、血圧が上昇することがあります。
改善方法
高血圧を予防・改善するためには、以下の対策が有効です。
- 塩分を控える
食事での塩分摂取を減らし、加工食品や外食を控えめにする。 - 定期的な運動
ウォーキングやジョギングなど、軽い有酸素運動を習慣にする。 - ストレス管理
深呼吸や趣味の時間を取り入れて、心のリラックスを大切にする。 - 健康的な食生活
野菜を多く摂り、脂肪分の少ない食事を心がける。特に、カリウムやカルシウムを多く含む食品(例:バナナ、ほうれん草、乳製品)が有効です。
血圧が低い原因と改善方法
低血圧は、血液の循環が悪くなることによって引き起こされます。以下のような原因があります。
- 脱水症状
水分不足により血液量が減少し、血圧が低下します。 - 栄養不足
鉄分やビタミンB12が不足すると、血液の循環が悪くなり、低血圧を引き起こすことがあります。 - ホルモンバランスの乱れ
妊娠や月経、甲状腺の問題などでホルモンバランスが崩れることがあります。
改善方法
低血圧を改善するためには、次の対策が有効です。
- こまめな水分補給
脱水症状を防ぐため、特に暑い季節には意識して水分を摂る。 - 適切な食事
食事で鉄分やビタミンB12を摂取する。鉄分が多い食品には、レバーやほうれん草、卵があります。 - ゆっくり立ち上がる
急激な姿勢変更を避け、立ち上がるときはゆっくりと動くようにしましょう。
まとめ
血圧は健康状態を示す重要な指標であり、日常的に自分の血圧をチェックし、異常を感じた場合は早期に対策を取ることが大切です。高血圧も低血圧も、生活習慣を見直すことで改善できる場合があります。自分の血圧を把握し、適切な生活習慣を取り入れて、健やかな毎日を送りましょう。
もし、自分の血圧が気になる場合や異常を感じる場合は、お気軽にあすなろ薬局のスタッフにご相談ください。
参考文献
・国立循環器病研究センター
・日本臨床内科医会
投稿者プロフィール

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2015年~ 県立広島病院で勤務、主に外来のがん治療を行う患者さまの抗がん剤注射剤の調製、お薬の服薬指導、私生活のサポートを行う。
2019年~ 県立安芸津病院へ転勤 栄養サポートチーム(NST)に所属し栄養管理や整形外科での人工関節手術後のサポートを行う。
2021年~ あすなろ薬局で勤務
2023年~ 臨床栄養医学指導士を取得し、薬に加えて栄養指導も行っている。
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