「朝起きてすぐ」には理由があります!ビスホスホネート製剤の正しい飲み方

「少し転んだだけなのに、骨折してしまった」 「背中や腰が曲がってきた気がする」

年齢を重ねると、骨の量が減ってスカスカになる「骨粗しょう症」になりやすくなります。骨折が原因で寝たきりになってしまうのを防ぎ、いつまでも自分の足で元気に歩くためには、骨を丈夫に保つことがとても大切です。

今回は、骨粗しょう症の治療でよく使われるお薬(ビスホスホネート製剤)の効果と、少し特殊な「飲み方のルール」について分かりやすく解説します。

1. 骨を強くするお薬って、どんな効果があるの?

私たちの体の中では、古い骨を「壊す」働きと、新しい骨を「作る」働きが毎日繰り返されて、骨の強さを保っています。しかし、年齢とともに「壊す」働きの方が強くなってしまうため、骨がスカスカになってしまいます。

このお薬は、「骨を壊す働きをストップさせる」という重要な役割を持っています。骨が溶け出すのを防ぐことで、結果的に骨をギュッと丈夫にし、骨折を予防してくれるのです。

2. 「私のお薬もそうかしら?」代表的なお薬の名前

「自分が飲んでいる薬も、このルールに当てはまるのかな?」と思われた方は、お薬のシートやお薬手帳を見てみてください。よく処方されるお薬には、以下のようなものがあります。

  • アレンドロン酸錠〇㎎(アクトネル、ボナロン)
  • リセドロン酸錠〇㎎(ベネット、アクトネル)
  • ミノドロン酸錠〇㎎(ボノテオ、リカルボン)

※お薬によって、「毎日飲むタイプ」「週に1回飲むタイプ」「月に1回飲むタイプ」があります。最近は「〇〇酸錠」といったジェネリック医薬品で処方されていることも多いです。

3. 必ず守ってほしい「3つのお約束」

このお薬はとても頼りになる反面、飲み方に少し変わったルールがあります。安全に、そしてしっかりと効果を出すために、次の3つのお約束を守ってくださいね。

お約束①:朝起きてすぐ、朝食の前に飲む

胃の中に食べ物があるとお薬の成分が体に吸収されにくくなってしまいます。必ず「お腹が空っぽの状態」で飲んでください。

お約束②:コップ1杯(約180cc)の「お水」で飲む

お茶、コーヒー、牛乳などで飲むと、お薬の成分とくっついてしまい効果が落ちてしまいます。必ず「ただのお水(または白湯)」で飲んでください。

お約束③:飲んだあと「30分間」は、横にならず、飲食も控える

お薬が食道にくっついたままになると、食道が荒れて潰瘍(かいよう)ができてしまうことがあります。お薬を確実に胃へ送り届けるため、飲んだ後はすぐに横にならず、座るか立った状態で30分過ごしてください。朝食や他のお薬も、30分経ってからにしましょう。

4. 歯医者さんにかかる時の大切な注意点

もう一つ、知っておいていただきたい大切なことがあります。 このお薬を飲んでいる間は、抜歯などの出血を伴う歯科治療を受けると、ごくまれに「あごの骨の組織が炎症を起こす(顎骨壊死)」ことがあります。

そのため、歯医者さんを受診する時は、必ず「骨粗しょう症のお薬を飲んでいます」と伝えてください。お薬手帳を見せるとスムーズです。また、日頃から歯磨きをしっかり行い、お口の中を清潔に保つことも予防につながります。

5. 飲むのが難しい時は「注射」という選択肢も

「朝起きてすぐ飲む」「30分間横になれない」といったルールは、ご高齢の方や、お薬の管理をサポートするご家族にとって、負担に感じることもあるかもしれません。

もし、「毎日(または毎週)正しく飲むのが難しくなってきた」「飲み忘れが多くて心配」という場合は、決して無理をせず、そのまま放置しないことが大切です。 骨粗しょう症の治療には、飲み薬だけでなく、病院で定期的に打ってもらう「注射薬」という選択肢もあります(月に1回や、半年に1回など様々な種類があります)。

患者様ご自身や、サポートするご家族のライフスタイルに合わせて、より安全に続けられる治療法に変更できることもありますので、医師や私たち薬剤師にいつでもお気軽にお声がけくださいね。

おわりに

「飲み忘れた時はどうすればいいの?」 「このお水や白湯の温度で大丈夫?」

続けるものだからこそ、ちょっとした疑問や不安が出てくることもあると思います。自己判断でお薬を止めたり増やしたりせず、迷った時はいつでもあすなろ薬局にご相談ください。皆様の骨の健康と、元気な毎日を一緒にサポートさせていただきます!

 

参考資料
アレンドロン酸錠35㎎「VTRS」 添付文書
重篤副作用疾患別対応マニュアル ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死

投稿者プロフィール

nobuhiro nagao
nobuhiro nagao
2015年~ 県立広島病院で勤務、主に外来のがん治療を行う患者さまの抗がん剤注射剤の調製、お薬の服薬指導、私生活のサポートを行う。
2019年~ 県立安芸津病院へ転勤 栄養サポートチーム(NST)に所属し栄養管理や整形外科での人工関節手術後のサポートを行う。
2021年~ あすなろ薬局で勤務
2023年~ 臨床栄養医学指導士を取得し、薬に加えて栄養指導も行っている。

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